分電盤交換の費用はいくら?相場と内訳、安く抑えるポイントを専門家が解説

ご家庭の分電盤に交換の必要性を感じたとき、多くの方が真っ先に頭に思い浮かべるのは、「一体、いくらかかるんだろう?」という費用のことではないでしょうか。インターネットで検索してみても、「〇万円〜」といった幅のある表記が多く、結局のところ自分の家ではどれくらいかかるのか、はっきりとは分からないものです。


それもそのはずで、分電盤の交換費用は、お住まいの状況や選ぶ製品、工事の内容によって大きく変動します。だからこそ、「〇〇円です」と単純に言い切ることが難しいのです。


しかし、だからといって不安に思う必要はありません。費用の「相場」やその「内訳」、そして「何によって価格が変わるのか」という仕組みを事前に理解しておけば、業者から提示された見積もりが妥当なものなのかを、ご自身で判断できるようになります。


これから、分電盤交換にかかる費用について、専門家の視点から一つひとつ丁寧に解説していきます。この記事を読み終える頃には、きっとあなたの中に、納得のいく業者選びをするための、確かな「ものさし」が備わっているはずです。




我が家の場合はこのくらい。分電盤交換の費用相場

分電盤の交換費用は、様々な条件によって変わりますが、まずはおおよその相場観を持つことが大切です。一般的なご家庭で、既存の分電盤を新しいものに交換する場合、総額で5万円~10万円程度がひとつの目安となります。この金額を基準に、ご自身の状況に近いケースを見ていきましょう。



【住居タイプ別】費用相場の目安

基本的には、戸建て住宅でもマンションでも、分電盤交換の工事内容そのものに大きな違いはないため、費用相場も大きくは変わりません。ただし、マンションの場合は、工事の際に管理組合への届け出が必要になるケースがありますので、事前に確認しておくとスムーズです。


一般的な戸建て住宅の場合:6万円~10万円


一般的なマンションの場合:5万円~9万円



【契約アンペア数別】費用相場の目安

現在のご家庭の契約アンペア数(一度に使える電気の量)を維持したまま、分電盤本体のみを新しくする場合の費用相場は、以下のようになります。一般的に、契約アンペア数が大きいほど、対応する分電盤のサイズや回路数が多くなるため、費用も高くなる傾向にあります。


30A~40Aのご家庭の場合:5万円~8万円


50A~60Aのご家庭の場合:6万円~10万円


もし、交換を機に契約アンペア数を変更したい場合(例:40Aから60Aへ上げるなど)は、電力会社への申請や、屋外から引き込む電線の張替えといった追加工事が必要になることがあり、別途費用が発生します。


あくまで「目安」として考えることの重要性

ここで提示している金額は、あくまで標準的な機能の分電盤を使用し、大きな追加工事が発生しない場合のものです。そのため、「自分の家は60Aだから、絶対に10万円以内で収まるはずだ」と考えるのは少し早計かもしれません。

例えば、壁の中の配線状況が悪く補修が必要だったり、特殊な機能を持つ高価な分電盤を選んだりした場合は、この目安を超えることもあります。最終的な正確な金額は、必ず専門家による現地調査の上で作成された、詳細な見積書で確認することが不可欠です。




見積もりの見方がわかる!費用の詳細な内訳とは?

「分電盤交換に5万円から10万円」。この金額の内訳は、一体どうなっているのでしょうか。見積書に記載された項目を正しく理解することは、提示された金額が適正かどうかを判断し、納得して契約するために非常に重要です。分電盤交換の費用は、主に以下の3つの要素で構成されています。


【部品代】分電盤本体の価格

費用の中で大きな割合を占めるのが、新しく設置する分電盤本体の価格です。これは、選ぶ製品のグレードや機能によって大きく変動します。価格を決める主な要素は「回路数」です。回路数とは、分電盤についている小さなブレーカー(安全装置)の数のことで、部屋数やコンセントの数が多いほど、多くの回路数が必要になります。

例えば、回路数が4〜6程度の小さなものであれば1万円前後からありますが、10回路を超えるような一般的な住宅向けのものであれば、2万円〜4万円程度が目安となります。さらに、大きな地震の際に電気を自動で遮断する「感震機能」などが付いた高機能な製品を選ぶ場合は、本体価格もその分高くなります。



【技術料】交換工事にかかる費用

これは、古い分電盤を取り外し、新しいものを取り付けて配線を接続する、一連の作業に対する専門技術料です。国家資格である「電気工事士」が、安全を確保しながら確実な作業を行うための費用であり、ここを安易に削ることはできません。

具体的な作業としては、既存分電盤の取り外し、新しい分電盤の壁への固定、各部屋へ繋がる配線の接続、そして電圧測定や絶縁抵抗測定といった安全確認などが含まれます。この工事費の相場は、一般的に3万円~5万円程度とされています。



【その他】廃材処分費や出張費など

上記の部品代と工事費のほかに、いくつかの経費が加わります。

まず、取り外した古い分電盤を、法律に則って適切に処分するための「廃材処分費」です。これは数千円程度かかるのが一般的です。

また、業者によっては、現場までの移動にかかる「出張費」が別途請求される場合もあります。見積もりを確認する際は、これらの費用が「基本工事費」の中に含まれているのか、それとも別項目として計上されているのかを、きちんと確認しておくと良いでしょう。




なぜ価格が変わるのか?費用が変動する4つの要因

いくつかの業者から見積もりを取ってみると、同じ工事のはずなのに金額が違う、ということがよくあります。なぜ、そのような差が生まれるのでしょうか。それは、分電盤交換の費用が、ご家庭ごとの様々な条件によって変動するからです。ここでは、見積もり額に影響を与える代表的な4つの要因について解説します。



【要因1】分電盤の「回路数」と「機能」

最も基本となる変動要因は、設置する分電盤そのものの価格です。第3セクションで触れたように、分電盤の価格は主に「回路数(ブレーカーの数)」によって決まります。家の広さや部屋数、設置されているコンセントの数が多いほど、多くの回路数が必要になり、分電盤本体の価格も上がります。

また、近年では標準的な機能に加えて、付加価値のある製品も増えています。例えば、地震の揺れを感知して自動で電気を止める「感震機能」や、太陽光発電システムに対応した分電盤、将来のEV(電気自動車)充電設備の増設を見越したスペースを持つ製品などです。こうした高機能な分電盤を選ぶと、その分、費用は上乗せされます。



【要因2】契約アンペア数の変更に伴う追加工事

もし、分電盤の交換を機に「契約アンペア数(一度に使える電気の量)」を大きくしたいと考えている場合、費用が大きく変動する可能性があります。

なぜなら、契約アンペア数を上げるには、電力メーターから分電盤まで電気を運ぶメインの電線(「幹線」と呼びます)を、より太いものに交換する必要があるからです。この「幹線張替え工事」は、壁の中や天井裏での作業が必要になることも多く、数万円の追加費用がかかるのが一般的です。現在の電気の使い方に不便を感じてアンペア数の変更を検討している場合は、この追加工事費も念頭に置いておく必要があります。



【要因3】お住まいの「設置状況」と「配線状態」

見積もり額に差が出る大きな要因の一つが、それぞれの家の「現場の状況」です。これは、実際に専門家が現地調査をしてみないと分からない部分でもあります。

例えば、分電盤が狭いクローゼットの中や、作業しにくい高い場所に設置されている場合、通常よりも手間がかかるため、作業費が加算されることがあります。また、壁を開けてみたところ、内部の配線が劣化しており、補修が必要だと判断されるケースもあります。こうした予期せぬ追加工事が発生する可能性があることも、費用が変動する一因です。




安すぎる見積もりは危険信号?品質と価格の最適なバランス

分電盤交換の費用について調べていると、相場よりも著しく安い価格を提示している業者を見かけることがあるかもしれません。「少しでも安く抑えたい」と思うのは当然の心理ですが、価格の安さだけで飛びついてしまうのは大変危険です。ここでは、品質と価格の最適なバランスを見つけるための考え方についてお伝えします。



「安さ」の裏に隠されたリスク

なぜ、その業者は他よりもずっと安くできるのでしょうか。その「安さ」には、何らかの理由が隠されていると考えるべきです。例えば、以下のような可能性が考えられます。


無資格者による工事: 本来は国家資格である「電気工事士」でなければ行えない工事を、資格のない作業員が行っているケース。安全性が著しく損なわれます。


手抜き工事: 本来必要な安全確認の手順を省略したり、見えない部分の配線を雑に処理したりすることで、作業時間を短縮しているケース。火災などの原因になります。


低品質な部材の使用: 安全基準を満たしていない、海外製の安価で低品質な分電盤や電線を使用しているケース。耐久性に問題があり、早期の故障に繋がります。


初期費用は安く済んだとしても、こうした工事が原因で後々トラブルが発生し、結局は再工事などで高くついてしまった、という事態になりかねません。



適正価格とは「安全と安心」への対価

「適正な価格」とは、単に分電盤という「モノ」と、交換するという「作業」に対する料金だけではありません。そこには、目には見えない大切な価値が含まれています。

例えば、株式会社カツデンのように、お客様との信頼関係を第一に考える会社があります。そうした会社では、経験豊富な有資格者が、法律やメーカーの基準を遵守して安全な工事を行うことを徹底しています。また、万が一の事態に備えた損害賠償保険への加入や、工事後の保証といったアフターサービスまでを整えています。

適正な価格とは、こうした未来にわたる「安全」と「安心」に対する対価でもあるのです。


納得できる選択のための「相見積もり」

では、どうすれば品質と価格のバランスが取れた、信頼できる業者を見つけられるのでしょうか。そのための最も有効な方法が、「相見積もり(あいみつもり)」です。これは、複数の業者から見積もりを取ることを指します。

1社だけの見積もりでは、その金額や工事内容が本当に適正なのかを客観的に判断することは困難です。できれば2〜3社から見積もりを取り、価格はもちろんのこと、提案内容の詳細さ、担当者の対応の丁寧さ、保証体制などを総合的に比較検討しましょう。そうすることで、ご自身が心から納得できる、ベストな選択が見えてくるはずです。


業者がどのような工事を手がけ、どんな想いで仕事に取り組んでいるかを知ることも、判断の一助となります。

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費用と安全性の両立を。納得のいく分電盤交換は、信頼できる専門家への相談から

分電盤の交換費用は、お住まいの状況から選ぶ製品の機能まで、実に様々な要因が絡み合って決まります。ここまでお読みいただいたことで、その仕組みの全体像をご理解いただけたのではないでしょうか。


大切なのは、「費用をただ安く抑える」ことだけを目的にするのではなく、「適正な価格で、最大限の安全と安心を手に入れる」という視点を持つことです。分電盤は、10年、15年と、これから先の長い年月にわたって、ご家族の暮らしを電気の危険から守り続ける、いわば「お守り」のような存在です。その場しのぎの安さで選んでしまい、後から不安な日々を過ごすことになっては、本末転倒です。


表面的な金額に惑わされず、その見積もりに含まれている工事の品質、技術者の信頼性、そして長期的な保証といった「価値」を、どうか見極めてください。それが、後悔のない選択をするための、唯一確実な方法です。


憶測で「うちの場合はいくらかな」と悩み続けるよりも、まずは専門家に相談し、ご自宅の状況を直接見てもらうこと。そして、それに基づいた詳細な見積もりを提示してもらうこと。それが、納得のいく分電盤交換を実現するための、最も確実で賢明な第一歩となるはずです。


ご自宅の正確な費用を知りたい、専門家のアドバイスが欲しいと感じたら、まずは気軽に問い合わせてみてはいかがでしょうか。

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