マンション共用部の電気代を削減するには?ムダなく効率よく省エネ化する方法

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エントランスや廊下、エレベーター、駐車場の照明など、マンションの共用部分では日々電気が使われています。こうした電力は、住民の管理費から支払われているため、使い方によっては大きな負担につながることもあります。特に電気代が上昇している昨今では、これまでと同じ設備を使っているだけでもコストが膨らみがちです。


「なんとなく高い気がするけど、どうすればいいのか分からない」と感じている管理組合やオーナーも少なくありません。実際には、電気設備の使い方や機器そのものを見直すことで、月々の電気代を数千円〜数万円単位で抑えられるケースもあります。何から手をつけていいかわからないという場合でも、見直しの視点を持つことで改善の糸口は見えてきます。


このページでは、特別な技術がなくても実践しやすい「共用部の電気代を減らす方法」を、ポイントごとに解説していきます。次のセクションでは、まずどこに電力が使われているのか、見直すべき具体的な場所を確認していきましょう。




電気代がかかる共用設備とは?見直しポイントを整理

共用部の電気代が膨らむ背景には、「常に使われている設備」と「気づかれにくい電力消費源」が存在します。たとえば、24時間点灯しているエントランス照明や、夜間も動き続ける防犯カメラの録画装置、そしてエレベーターや自動ドアなどの稼働設備。これらはいずれも電気を安定して供給し続けなければならず、月々の基本的な消費電力として積み上がります。


さらに、照明や設備の「古さ」もコストの増加に直結します。たとえば、蛍光灯や水銀灯など旧式の照明器具は、LED照明に比べて消費電力が大きく、熱を持ちやすいため劣化も早くなりがちです。空調や換気ファンも、インバーター非搭載の機器は電力効率が悪く、長時間稼働すればするほどムダが積み重なります。


見直しの第一歩としておすすめなのが、「どこでどれだけ電気が使われているのか」を数値で把握することです。最近では、共用部に設置できる電力モニターなどもあり、使用状況を“見える化”することで無駄な点灯時間や過剰運転に気づきやすくなります。また、複数の設備が1つの分電盤から電力供給されている場合、分電盤の設計や運用状況によってもロスが生じている可能性があります。


次のセクションでは、具体的な対策として注目されている「照明のLED化」と「自動制御システムの導入」について、費用感や導入手順も含めて詳しく見ていきましょう。




節電対策①:照明のLED化と自動点灯システムの導入

共用部の節電対策で最も効果が高く、比較的取り入れやすいのが「照明のLED化」です。LED照明は、従来の蛍光灯や白熱灯に比べて消費電力が少なく、寿命も長いため、ランニングコストとメンテナンスコストの両方を抑えることができます。特に、24時間点灯しているエントランスや駐車場の照明にLEDを使えば、年間を通じて大幅な電気代の削減が見込めます。


さらに、タイマーや人感センサーといった「自動点灯システム」と組み合わせることで、不要な点灯を防ぎ、より効率的な運用が可能になります。たとえば、深夜帯に人の出入りが少ない階段や廊下では、人の動きを検知して一定時間だけ点灯する仕組みが有効です。導入コストは多少かかりますが、多くのケースで数年以内に元が取れるとされています。


もう一つ重要なのは、「どこにどの種類の照明を設置するか」という使い分けです。たとえば、防犯上常時点灯が望ましい場所には明るさを落としたLEDを設置し、人通りの少ない場所にはセンサー付きの照明を使うなど、無理のない省エネ設計を行うことで快適さと節電の両立が可能になります。


なお、こうした変更を行う際は、照明器具の仕様確認や電気設備との適合性をしっかり確認することが重要です。LEDへの単純な交換だけではなく、分電盤や既存配線とのバランスを見ながら最適な工事を行う必要があります。


次のセクションでは、照明以外での節電手段として注目される「分電盤・制御設備の見直し」について掘り下げていきます。




節電対策②:分電盤や制御盤の見直し・更新の効果

共用部の電力使用を効率化するうえで、照明や機器そのものだけでなく、それらを支える「分電盤」や「制御盤」の見直しも重要なポイントです。これらはマンションの共用設備に電力を振り分け、必要な場所に安定した電力供給を行う役割を担っています。しかし、設置から20年以上が経過した旧型の分電盤では、現在の設備に対応しきれないケースや、過剰供給・不安定な電圧によるロスが生じていることも少なくありません。


分電盤の交換や調整によって、エネルギーを過不足なく適切に分配できるようになれば、それだけでも無駄な電力消費を抑える効果が期待できます。また、制御盤に自動化機能(スケジュール制御、外光センサー連動など)を持たせれば、季節や時間帯に応じて最適な運転が可能になり、不要な稼働や点灯を減らすことができます。


さらに、最近では「電力量の見える化」に対応した分電盤や集中管理システムの導入も進んでいます。管理室のモニターやクラウド上でリアルタイムに消費電力を確認できるようになれば、異常値の早期発見や節電効果の検証にも役立ちます。特に中〜大規模マンションでは、そうした監視機能がトラブル回避や費用管理の観点でも有効です。


なお、分電盤や制御設備の更新には専門的な知識と施工技術が求められます。建物の規模や設備状況に応じた設計と、現場での安全な作業が欠かせません。無理な自前対応は避け、実績のある電気工事業者に相談することが望ましいでしょう。


次のセクションでは、これらの改善をどうやって実行に移すか、費用感や流れを踏まえて導入ステップをご紹介します。




導入の進め方と費用の目安(管理組合の合意形成も含む)

共用部の電気代削減に向けた設備更新や節電対策は、「やるべき」と分かっていても、いざ実行となるとハードルを感じる管理組合も多いのではないでしょうか。まず大切なのは、現状を正確に把握すること。どの設備がどれだけ電力を使っているか、どこに無駄があるかを調査し、見直しポイントを洗い出すことで、改善の方向性が明確になります。


そのうえで、導入する対策の優先順位を決めていくのが現実的です。たとえば、「まずはLED照明への交換だけ行い、制御盤の見直しは来期に検討する」といった段階的なアプローチも十分に有効です。工事費用の目安としては、LED照明への交換が1灯あたり5,000〜1万5,000円程度。分電盤の交換や制御設備の設置は規模により大きく異なりますが、数十万円〜100万円以上を見込んでおく必要があります。


また、分譲マンションの場合、共用部の工事には管理組合の合意形成が不可欠です。理事会での提案、住民説明会の開催、予算審議といったプロセスを経るため、ある程度の時間がかかります。専門業者に現地調査を依頼し、見積書と提案書を用意してもらうことで、住民への説明も具体的かつ納得を得やすいものになります。


補助金制度の活用も視野に入れると、費用負担を軽減しやすくなります。自治体によっては、省エネ設備の導入や住宅管理組合向けの補助金が用意されている場合があり、工事時期や機器選定に影響を与えることもあります。


設備の更新は一度きりの出費ではありますが、長期的に見れば確実に運用コストを下げる投資でもあります。まずは、信頼できる業者に相談し、自分たちのマンションに合った節電プランを立てることが第一歩です。


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まとめ:小さな見直しが、大きな節約につながる

共用部の電気代は、「仕方がない出費」として見過ごされがちですが、設備の使い方や仕様を見直すことで、確実にコストダウンを図ることができます。照明のLED化や自動点灯の導入、さらには分電盤や制御設備の更新といった対策は、一度実施すれば長期的に効果を発揮し、日々の維持管理もラクになります。


もちろん、すぐにすべてを変える必要はありません。まずは現状を知ること、そして必要に応じて段階的に改善を進めていくことが大切です。住民の理解や管理組合の合意を得ながら、無理のないペースで取り組めば、ムダのない快適な共用空間が実現できます。


電気代の高騰が続く中、何も手を打たなければコストは増える一方です。今こそ、見える部分から順に、管理のあり方を見直してみてはいかがでしょうか。


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